2018年10月2日火曜日

株式会社湯佐和 代表取締役社長 湯澤 剛氏登場。

in-職(いんしょく)ハイパー“飲食の戦士たち” 株式会社湯佐和 代表取締役社長 湯澤 剛氏登場
本文より~

1962年、生まれ。

「志願して、海軍に入ったような人」。
今回、ご登場いただいた株式会社湯佐和の社長、湯澤 剛氏は父親のことをそう言う人だといって笑う。躾もきびしく、とんでもなく怖い父親だったらしい。その父親が始めた中華料理店が株式会社湯佐和の源流である。
「戦後、日本食堂でコックになり、昭和35年くらいでしょうか。大船で中華料理店を始めます。これが、うちの始まりです」。
湯澤氏が生まれたのが1962年。つまり、昭和37年だから、その少し前に開業されたことになる。当然、店は忙しく、湯澤氏は、祖母に育てられたそう。
家族旅行の記憶もほぼない。
成績は優秀で、中学から全寮制の山手学院中学校に進んでいる。こちらでも成績はトップクラス。そのまま、山手学院高等学校に進み、学年トップを何度も獲得する。「高校2年の時に、1年間、留学します。だから、実は、2年を2回しているんです/笑」。
留年ではなく、留学で2年を2回。そういうことを勧める学校もあるんだと、少し驚いた。その後、湯澤氏は、早稲田大学の法学部に進み、キリンビールに就職する。

1987年、キリンビール入社。

「早稲田に進学してからは、学校にちかい高田馬場で独り暮らしをはじめます。大学から空手とサーフィンも始めました。そもそも、法学部に進んだのは弁護士になるためだったんですが、空手やサーフィンに熱中すればするほど弁護士という輪郭が薄れていきます」。同時に、周りの学生たちがすご過ぎて、「到底、こいつらには敵わない」と思ったことが、弁護士を断念する引き金になったそう。
「それからは、アルバイトや、そうそう株式の取引で資金をため、とにかく海外に行きました。ハワイやインドネシア、タイ、ヨーロッパなど。ええ、語学は大学時代に英検1級を取り、問題はそうなかったですね」。
大学を卒業し、1987年、キリンビールに入社する。
当初から海外勤務だと思っていたそう。しかし、現実は違っていた、と笑う。
「最初に名古屋に配属され、それから三重。海外に渡ったのは、1992年です。選抜され、研修生として、ニューヨークの人事部人材開発室に異動になりました」。
向こうでの暮らしは、日本食レストランやスーパーで勤務し、勤務後にニューヨーク大学の経営学部で勉強するというスタイル。住まいは小さかったが、マンハッタン、セントラルパークの真ん前だったそう。2年後、医薬事業本部の海外事業担当に任命され、帰国する。
将来を嘱望されていたのだろう。
しかし、1999年、飲食店を経営していた父親が他界する。これが壮絶な人生の幕開けとなった。

2代目、社長、40億円の借金を背負う。

「当時、うちの会社の店舗は33店舗まで広がっていました。年商は全体で20億円くらいです。社員は90名くらい。これだけみれば、そう悪い業績ではありません。しかし、私は父の会社のことを知らないし、そもそも飲食業の経験もありません。たしかに大手のビール会社にはいましたが、飲食店との接点も少ないほうですし、マネジメントの経験もない。だから、自ら進んで社長になろうとは思っていませんでした。ただ、父がいなくなったこともあって、決済など、相談されることが多くなり、なんとなく、なし崩し的に跡を継ぐことになりました」。
そんななかで、どうしても逃げ出せない「鎖」につながれていることを知ったのは、キリンビールから軸足をこちらに移した頃だろうか。
「借入金が、40億円もありました。順調に返済しても80年かかると言われた金額です」。
飲食の経験があれば、多少なりとも先は読める。経営の経験まであれば尚更、再生の道は描けたはずだ。しかし、どちらもない。あるのは40億円という途方もない借金の額だけである。
もっとも、こちらもリアルには想像できない額である。事業を引き継ぐことで、借金も引き継ぐというケースは少なからずあるが40億円というのは、断トツだ。毎月の返済だけでも、3000万円になったという。1時間換算4万円。
「でも、借金だけじゃなかったんです。社内体制がボロボロでした。酒を飲んで仕事するなんてことは彼らにとって常識で、何が正常か、異常かもわからなくなるくらいでした。ただ、そんな職人たちを切ることができない。だって、彼らがいなくなれば、お店が運営できないからです」。
「八方ふさがり」とは、まさにこういう時に遣う言葉だろう。借金に頭を押さえられ、周りには、傍若無人な職人たち。相談する相手もいない。
「唯一、妻がいました。彼女がいたおかげで乗り越えることができたんです」と湯澤氏は語る。
・・・続き
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