in-職(いんしょく)ハイパーの“飲食の戦士たち”に“株式会社CITRABA 代表 脇 篤史氏登場。
本文より~
中学時代に書き残したのは、社長の二文字。
1982年生まれ。出身は神奈川県座間市。「小学1年の時に茨城県に引っ越します。うまくはなかったですが、父親の影響もあって、ずっと野球をやっていました」。
高校は土浦日大付属高校。1学年に生徒1000人を数えるマンモス校だったそうだ。「小学生の頃の目標は、プロ野球選手でした。ただ、中学にはもう少し現実的な目標にかわっていました。社長です。将来、社長になるとどこかに書いたような/笑」。
それから数年、大学を卒業した脇氏は株式会社ダイナックに入社する。いうまでもなく、サントリー系列の飲食企業だ。ホームページには「響」「魚盛」「鳥どり」などの多業態飲食店の経営と書かれている。
「もともと飲食を志望していました。高校時代から飲食でずっとバイトしていたので、親しみもあったし、だいたい人と接するのが好きだから、この仕事に向いていると思っていたんです。だから、就活では、飲食ばかり受けていました」。
ダイナック以外には、ダッキーダック、際コーポレーションなどなど。
「バイトはジャンル問わず経験しています。ラーメンに、中華に、イタリアン、ハウスウェディングでもはたらきました。飲食はバイトの定番だし、じつは食に興味もあったんです」。
こちらは、お母さまの影響らしい。
「母親の料理が好きで、大学に進むときも、じつは料理の専門学校と迷ったくらいなんです」。ダイナックにすれば、とびきりいい人材が採用できたことになる。
ダイナックで、修業。職人気質の料理人に叩き込まれる。
「料理好きということもあって、大学時代はイタリアンのキッチンでずっとバイトをしていました。そのぶん、学校にはあまり行ってなかった/笑」。
むろん、無事卒業はできている。
アルバイトでキッチンの経験もなくはなかったが、配属はホール。
「やっぱり料理が好きだから3年目にキッチンに異動させてもらって、2年半で3店舗経験します。いまはもうないブランドなんですが、職人気質の料理人に、びっしり叩き込んでもらいます。私の料理人のベースができたのは、この人のおかげですね。ダイナックには計9年いました。5年目には料理長にもなっています」。
ホールから異動したなかでは早い昇格だという。
「ダイナックでは居酒屋も経験しました。居酒屋の経験はなかったので楽しかったですね。ダイナックを辞めるきっかけになったのは、クラフトビールに出会い、魅了されたからです」。
むろん、独立というのも視野に入れてのこと。ホール、キッチン全般を経験し、独立できるスキルと資金をある程度貯蓄できたのも、辞めるきっかけになったのではないか。
志も準備は万端。
だが、クラフトビールが気にかかる。
大手メーカーだけじゃない。クラフトビールは、旨くて、楽しい。
「私がクラフトビールに出会った『クラフトビアマーケット』は雰囲気もすごくいいお店です。私もじつは常連客の1人でした。どうしても気になったこともあってダイナックを辞めたあと、じつはこちらでアルバイトを開始します。最初は数ヵ月と思っていたんですが、クラフトビールというのは、知れば知るほど奥が深いんです。その奥深さに負け、物件探しもしていたんですが、そちらはいったんストップし、開業も先送りして、こちらで正社員になります」。
数ヵ月のつもりが、けっきょく5年勤務している。
「虎ノ門店からスタートし、三越前店、淡路町店で店長を経験し、神田店では、立ち上げから店長を務めさせていただきました。もちろん、独立を忘れたわけではありません」。
ちなみに、クラフトビールとの出会いには奥様も一役買われている。
「2012年、30歳の時に結婚します。ダイナックを辞める頃ですね。奥さんとは、ダイナックで知り合いました。彼女がベルギービールが好きで、その影響でクラフトビールを知り、のめり込んでいきました」。
ちょっと先走ることになるが、いま我々が「シトラバ」で旨いクラフトビールをいただけるのは、奥様のおかげでもある。感謝、感謝。
クラフトビールとレモンサワーと、丸鶏フライドチキン。この三本柱にはかなわない。
「クラフト麦酒酒場 シトラバ」がオープンしたのは、2019年4月13日。脇氏、36歳の時。「会社から『クラフトビアマーケット 高円寺店』で独立しないか、というオファーを頂戴します。私にとっては申し分ないオファーです」。
それはそうだろう。リスクは少ない。ある意味、ホームグラウンドでもある。「28坪で、50席くらいです。損益分岐点でいうと450万円くらいでしょうか」。
目玉は、クラフトビールとレモンサワー。ここに、ビールと相性抜群の丸鶏フライドチキンが戦力に加わる。もうこれだけで、ビール好きは落城したようなもんだ。
レモンサワーにもこだわりがある。
「こちらは、小田原の矢郷農園のノーワックスレモンを使用しています。シンプルな『いつものレモンサワー』から、はちみつで漬け込んだレモンを使用した『贅沢レモンサワー』に、『パクチーレモンサワー』、『ガリレモンサワー』とバリエーションも豊富にご用意しています」。
クラフトビールだけではなく、レモンサワーも用意することで客層が広がる。センスのいい戦略だ。「2021年1月に法人化します。3月には2店舗目の中野店をオープンします。こちらに決めたのは、家賃が下がったことと、小窓もあるので、ビールのテイクアウトもできそうだったので」。
ビールのテイクアウトとはめずらしいが、じつは、高円寺でもやっている。
・・・続き
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