in-職(いんしょく)ハイパーの“飲食の戦士たち”にエス・フィールド株式会社 代表取締役 菅原尚也氏登場。
本文より~高校時代からアルバイト、開始。
「兄も、弟も母に似て芸術関係なんです」と、今回、ご登場いただいたエス・フィールド株式会社の代表取締役、菅原さんは笑う。兄は写真家で、芸術大学で客員教授もされている。弟も、芸術の道を進んでいる。ご自身はそうではないらしい。
「音楽は好きなほうだったと思います。とくに中学時代はハードロックにハマっていました。もっとも音楽の才があったわけじゃありません。高校時代ですか? 高校時代は、コンビニや生協でアルバイトをしていました。私にとっては、アルバイトがクラブ活動のようなもんでした」。
<大学は武蔵工業大学ですね?>
「車が好きだったんです。ホンダがF1で頑張っていた頃に育っていますから、その影響もあって。大学3年の時には中古車ですが、ホンダのインテグラを買ってもらって乗っていました」。
「大学時代もアルバイトは色々しました。ピザショップのデリバリーとかですね。ほかにも、これが今の原点だと思うんですが、ホテルや飲食店で配膳の仕事をします。当時でも、フレンチだと時給1800円くらいあったかな。結婚式場では、新郎新婦のメインテーブルはベテランがするんですが、私は学生なのに、その仕事を任されます」。
月に20~30万円になったというから、アルバイトの域を超えている。
「大学時代からスキーにはハマリました。夏はテニス、冬はスキー。スキーには一時期、毎週、出かけるほどハマっていました」。
スキーはそれなりにお金がかかるが、アルバイトで資金は潤沢だったんだろう。
絵に描いたような青春である。
F1メカニック、改め、清水建設へ。
<就職はホンダじゃなく、清水建設ですね?>
「そうですね。もちろん、最初は自動車メーカーに就職し、F1のメカニックになることを目指し、武蔵工業大学に進んですが、4年間、理系にいて、私は根っ子からの技術屋じゃないと気づくんです。だとしても、就職はしないといけません。F1のメカニック以外で興味があるものといえば再開発事業だけで」。
<スケールが大きいですね>
「実をいうと、TV局もいいかな、と。でも、けっきょく、清水建設に入社しました。その時、飲食をするとはもちろん思っていなかったです」。
少しだけ、当時の菅原さんを追いかけてみよう。
無事、清水建設に就職した菅原さんだったが、配属先は、土木本部。担当は機械電気設計や施工管理業務だったそう。菅原さん曰く、希望とかけ離れていたこともあって、開発の部署への異動を願いでる。
希望が通り、2003年にエンジニアリング事業本部へ異動となった。
「こちらでは、土壌環境本部という部署に所属します。再開発には土壌調査をすることが法律で定められていますので、直接ではありませんが、開発に関わることができるようになりました」。
<いいキャリアですね>
「そうですね。わざわざ飲食をすることもなかったですね。家族に最初に言った時には、バカじゃないのって一言です(笑)」。家族じゃなくても、誰でもそう言うだろう。実際、融資を受ける際、銀行員にもおなじことを言われている。
人生賭けた、転職。
「会社に対する不満というより、マネジメントの楽しさを知ったというか。実は、清水建設で部署長になってメンバーをまとめて、おなじ目標に向かって組織を動かす仕事をするんですが、それに、たいへんやりがいっていうのを感じるんです」。
<やりがいは分かりますが、どうして、飲食に結びつくんでしょう?>
「もちろん、学生時代の経験も大きいですし、あと一つ。実は、私を動かす存在があったんです」。
<存在?>
「はい。清水建設の同僚で、現在、ケーズカラナリーブランニングという会社の社長を勤めている越野氏という男性です。彼は事務系だったんですが、なぜだか気があって。プライベートでもしょっちゅう2人でつるんでいました。彼は、清水建設をすぐに退職し、マネックス証券などを経て、32歳で独立します。実は『いっしょにやらないか』とも言ってくれたんですが、その時は、さすがに準備も何もできていませんでしたから」。
<それで、先に、越野氏が飲食店をオープンされるんですね>
「彼の性格は知っていますから、起業すると聞いても驚きませんでした。ただ、うらやましいな、と(笑)」。
<独立の相談は、越野氏にもされましたか?>
「私が独立したのは42歳です。家族には、以前、反対されましたから事後報告です。もちろん、普通の人からみたら、正気の沙汰じゃないんですが、人生やりたいことをやろう、と、それだけは決めていましたから。越野氏にはもちろん相談しました。その時、彼のブランドである『MADOy』のフランチャイズをしないかって提案されたんです」。
42歳。思い切った、人生賭けた、転職でもある。
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