in-職(いんしょく)ハイパーの“飲食の戦士たち”に株式会社Human Qreate 代表取締役社長CEO 米田拓史氏登場。
本文より~少年、朝ごはんをつくる。
料理の代わりに、1万円札を渡された。子どもの頃から外食が多い。かといって、マクドナルドやサイゼリヤなどは、NG。
父も、母も経営者だったから経営の仕事で、いそがしい。テーブルの向こうには、いつも弟1人。「ごくたまに祖母が、マクドナルドなど、NGなファストフードにも連れてってくれて。そりゃ、旨い!ですよね」。そう言って笑うのは、今回ご登場いただいた株式会社Human Qreateの代表取締役社長CEO、米田拓史さん。
「高いお金を払っていいものを食べたって、それだけじゃぜんぜんおいしくない。笑いながらみんなと飯を食う、これがいちばんだっていうのは、こどもの頃のさみしい食卓でみつけた、私なりの『旨い』の本質です」。
以下も、米田さんの子どもの頃の話。
「小学校では、できがよすぎて、イジメにあいます(笑)」。
スポーツも、勉強も、それ以外でもなんでもできるスーパーマンだった。ふつうなら賞賛されていいのだが、逆に怒りをかった。
一つだけ、褒められることがあった。
朝食の話。
「小学生のとき、朝ごはんは私がつくっていたんです。ウインナーとか、卵焼きとか。父や母が褒めてくれる、それが嬉しくて。ただ、その両親は私が10歳のときに離婚しています」。
両親が離婚しても、食卓のスタイルはかわらない。あいもかわらずひっそりしている。
「あの頃ね、ともだちの家でいただいたカレーライスとかが、むちゃくちゃ旨かったんです。怒られるかもしれませんが、カレーそのものは美味しくはないんです。でもね、みんなと食べると、世界がかわるんです」。
100メートル、10秒58。
「中学、高校はサッカーです。高校は桃山学院といって、偏差値は70くらいです。ただ、私立ですから、スポーツ推薦で進学する子もいて。学力差は、あったかもしれませんね。大学は、日本大学に進みます。こちらで陸上部に入ります」。
入部するのに、2ヵ月、監督に受け入れてもらえなかったという。
「当時の日大の陸上部は、400人の規模です。だれもが高校時代から経験のある優れた選手たちです。そんななかにど素人が堂々と『入れてくれ』っていうわけですから監督からすれば、『舐めているのかこいつ!』ってなるわけですよ」。
「でも、こっちもひくわけにはいかない(笑)。サッカーやって、親にもお金を使わしていましたから、その道でプロになれたらいちばんなんですが、さすがに厳しい。サッカーと100メートルを天秤にかければ、100メートルのほうが可能性があると思って、サッカーを断念して、日大にきたわけですから」。
一度だけチャンスがほしい。そうすれば、俺が言っていることがわかると言い続けた。
「ついに監督が折れて、20種目くらいの基礎体力テストに混ぜて下さったんです」。
<結果はどうでした?>
「400人中1位です。もう、笑うしかなかったんでしょうね。おまえは室伏広治か、なんて冗談でね。とにかく、伝説の奴がきたみたいなって感じになって」。
1年生でオリンピックの強化選手に選ばれている。
「ただ、なまじっかはやく走れるだけに、からだがついてこなかったんです。ほかの選手は、言ったら走る訓練をつづけてきた人たちです。私は、サッカーをやっていたと言ってもね」。
<出力が大きすぎて、からだはついてこないというイメージですか?>
「その通りですね。結果、怪我に悩まされて」。
最高記録は10秒58。
前代未聞の、エントリーシート。
「陸上競技をあきらめた私は、ブライダル業界に就職します。じつは1社しか受けていません。1/1ですね」。
就職談にも、米田という人が表れているので、そちらの話にも耳を傾けよう。
「ウェディングは苦手克服のために選択したんです」。
<どういうことですか?>
「割と簡単な話なんですが、陸上選手って、私もそうなんですが社交性がないんです。個人スポーツですからね。団体競技とは、ちがうんです」。
0コンマを狙うスポーツには、チームワーク精神すら邪魔になるんだろうか?
「自覚するかどうかは別にして、私はそういうのを知っていましたから、このままじゃあかんと。だから、ウエディングなんです。ウエディングってたのしくない時も笑わないといけないし、申し訳ないと思っていなくても、謝らないといけない。チームワークもいるし。当時の私は、敬語だってできない。礼儀正しく立つことすらできないヤバイで奴だったんです。だから、それを改善するにはブライダルだって」。
<たしかに、ヤバそうですね(笑)>
「ただ、わかっているのに、面接時からやらかしたっていうか(笑)」。
合同説明会にでて、感動したそうだ。
「にもかかわらず、普通なら落としてくださいっていうコミュニケーションしかできないんです」。
では、以下その時の実況中継。
「ぼくは、御社しか受けないんでお願いします」
「そうなの? 大丈夫じゃないかな。キミなら受かると思うよ」
「ぼくは、そういう、受かると思うよ、ってことで言ってないんで。時間がないから、もう受からせてくださいよ」。
まだ、一次面接。
<で、どうなったんですか?>
「エントリシートがいるというので、希薄のエントリーシートをだしました。名前はもちろん書いていますが。前代未聞って、電話がかかってきました(笑)。結果、2次、3次と進みます。いくら強気なことを言っても、社会性がないことは自覚していますから。そんな私に時間をくれる会社に、だんだん、愛情が湧いてくるんです」。
<愛すべき会社って意味ですね?>
「そうです。結果、2万人のエントリーというごく狭い門を突破して、就職できました。が、地獄はそこからです」。
一杯、1000円の珈琲。
無事採用されたが、配属されたのは宴会サービス。
「華やかなウエディングサービスのなかでも、目立ちたがり屋の自分にとって特に目立たない部署。配属を言い渡された時から心が折れ1年はアルバイト以下の感覚しかなかったです」。
「マジで仕事に行くのもいやだったですね」と米田さん。口調から、相当、イヤだったことがつたわってくる。
<でも、そんな米田さんがトップの成績を残すようになるんですよね?>
「2年目にカフェ&レストランに移るんです。最初は大阪だったんですが、今度は東京です。でも、志があったわけではなく、今までと同じモチベーションです。ただ、くそいそがしいところだったんで、残業代だけで給与が増えると思い、ウキウキして東京に向かいます。でも、やはり地獄をみるんです」。
「4億円のカフェ&レストランです。アルバイトって言ったってむちゃくちゃ優秀なんです。ぜんぜんかないません(笑)。社員なのに、なんでそんなこともできないの?って」。
「だから、むちゃくちゃ凹むんですが、その一方で、お客様から『ありがとう』って。仕事をして初めて褒めていただけるんです。すると、もっと褒めてもらいたくなる。珈琲、一杯1000円です。原価が50円とするでしょ。950円が付加価値です。じゃぁ、その付加価値ってなんだって、初めてそこにも目を向けるんです」。
「つまり、その950円っていうのは、私たちがつくる価値、そのものなんですね」。
お客様の服、オーダーされた食事、もっていらしたバッグの色まで、すべて顧客リストに記載した。
「今日のバッグは緑なんですねとか、元気が欲しくなったらまた来てくださいねとか。私たちのサービス一つで、実は1000円の珈琲が、2000円にもなるってことにも気づくんです」。
<地獄が、天国にかわる?>
「まぁ、いそがしいから天国とはいきませんが、そのぶん、残業代がつき、給料も入社2年目で50万円ちかくになりました」。
来店数は日に700~800人。それを15名のスタッフで回す。米田さんは、スタッフをコントロールするようになっていく。
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株式会社Human Qreate 代表取締役社長CEO 米田拓史氏
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